PBI Boating Notes
フォートレス・アルミアンカー 使ってみました

「フォートレス・アルミアンカー」とは米国FORTRESS社の FORTRESS MARINE ANCHOR のことです。私のボートぷりまことPrimaveraはこのアルミアンカーをメインアンカーにしていますが、よく「そのアンカーどう?」なんて聞かれます。アンカーの批評なんてホントはできませんが、一人のユーザーとしてならちょっとは説明できるかなと思い、以下にまとめてみました。なお、このページの画像はFORTRESS社のもので、資料などは私が勝手に翻訳・単位 変換したものです。公式なものではありませんので、ご了承ください。


とても軽い
まず、このフォートレス・アルミアンカーは「軽い」です。まあアルミ製だから当たり前といえばそれまでですが。でも一方で非常に硬い印象を受けます。柔らかくはありません。ひんやりと冷たくて、たたくとカツカツという硬い音がします。

ぷりまは進水時にはふつうのダンフォース型アンカーを 搭載していましたが、それって10kgのものでした(しかしなんで10kgだったのだろう。重すぎやしませんかねえ)。今フォートレスのFX-7(一番小さいやつ)で、これって4パウンド(約1.8kg)しかありません。バウにあるアンカーロッカーから「さあ投錨だ」と片手でヒョイと取り出すのをみた人はちょっとびっくりして「えー片手でアンカーレッコー!?」なんて驚かれたこともあります。そのくらい大きさなどから想像するより軽いということです。

ただこれは長所かというと多分異論もあろうかと思います。「アンカーは重くあるべし」も個人的にはまあそうかなと。ただアンカーの自重だけでフネが泊まるのではなく、アンカーがしっかり海底を掴むからフネが泊まるのだという理論でいけば、ちゃんと働くのならば、重い必要はないはず、なんですけど。

ぷりまのFX-7型フォートレス・アルミアンカーもやっぱり軽すぎるのか、投錨すると水の浮力を受けて「ユラ〜ユラ〜」と沈んでいきます。アンカーが「ドボン」と沈んでいかないのって、なんだか妙な気分です。見ていて「なーんか大丈夫かなー」なんて思います。私は個人的には やっぱり重いアンカーをドボンとやる方が、なんかいかにも投錨しているようで気分的に好きなんですけどね。

アンカリングの迷信:  重いアンカーほど良いアンカー
事実: 優れた設計と工業技術によって、良いアンカーは今や軽いものとなりました。米国海軍を含む世界の様々なテストにおいて、良い把駐力をもつアンカーはその自重も軽量 なアンカーだったのです。アンカー設計の善し悪しは、把駐力においてアンカーの自重より効果 的であるということです。(フォートレス社資料)
アンカリングの迷信:  鉄(スチール)が最も強いアンカーの素材だ
事実: それは昔の話です。スチールより丈夫な素材は今はたくさんあります。例えば高張力アルミニウム-マグネシウム合金です。アンカーの素材として適しているばかりではなく、重量 比較でスチールの2倍の強度を持ちます。(フォートレス社資料)

分解可能
フォートレス・アルミアンカーは 分解・組立式で、買ったときには分解されて箱に入っています。


特徴としては以下のようなものが挙げられますが、このような特徴を持つためにはどうしても分解・組立式にならざるを得なかったのではないかなと 勝手に推測しています。

持ち運び・収納に便利、かな?
収納しておいて使用時に組み立てるような使い方をしない人には無意味。逆に組立てがメンドウかも。フネと自宅間を持ち運ぶことも、通 常はあんまりしないし。でも店から買って持ってくる時は分解してあったのでよかった。

泥プレート(MUD PALM)を付ける
構造になっている

このプレートが 性能上の特徴になっている。

底質に合わせて、フリューク角度を32度から45度に変えられるようになっている
アンカリングの迷信:  どのアンカーも、同じようなもんでしょ
事実: そうではありません。形状や素材が違えばそれらは全て異なった性能を持っています。大切なボートをしっかりとアンカリングするのです、アンカーは値段でなく性能で選んでください。(フォートレス社資料)
アンカリングの迷信:  よく似た形のアンカーは、同じような性能のアンカーだよね
事実: 見た目がよく似ていてもごまかされてはいけません。高い技術の設計と製造過程、合金素材を使って厳しい品質管理の元で製造されたものは、間違いなく性能的に優れています。各種ユーザー団体が独立して出しているテスト比較結果 や米国標準認証マークを確かめてください。(フォートレス社資料)

効きは?
私の愛艇Primaveraでのフォートレスアンカーでのアンカリングはこんな感じです。文章から感じがうまく伝わらなかったら、今度ぷりまにアンカーマンとして来てくだされば体験できますよ(笑)。

まずアンカーレッコーですが、前述のように海中には「ユラ〜」っと入っていきます。それはさながら海面 表層をただよう小型エイ(?)のような感じでしょうか。ぷりまはアンカーロープにマーキングしてあって繰り出したロープの長さ(アンカーロード) がわかります。よく「水深の5倍」 なんて言われていますが、東京湾の、例えば狭い掛かり釣りポイントなんかでは現実的にはなかなかそんなに出せませんよね。

風があったりするとアンカリング最中にフネが流されます。風で横向きに振られたな、とフネの不安定さを感じながら まだするするとロープが出ていくのを見ていると、突然「がつん」とロープに張力がかかります。アンカーが海底に刺さって効き始めたことがはっきりと伝わります。フネは風にバウを立てて、あっという間に安定します。 アンカーロープを クリートに仮とめし、ロープを引っ張ったりしてアンカーが抜けてしまって張力が落ちていないかを確認します。大丈夫みたい。がっちり入っている。アンカーロープをクリートに固定し、アンカリング終了です。

「がつん」という感じは底質や風によってもちがうと思いますが、以前使っていた(10kgの)ダンフォース型アンカーでは味わったことのない強い感覚です。この感覚が味わえると、アンカリングが成功したようでなんだかとってもうれしい気持ちになります。 (レポートはここでおしまいです。)

アンカリングの迷信:  アンカーを「ドボン」と入れて、はいアンカリング終了ね
事実: そんなに単純ではありません。アンカー自体なんて、アンカリングするためのほんの一部分に過ぎません。アンカリングとは、アンカー、チェーン、アンカーロープ、シャックル、デッキ上のクリートなどの部品に、あなた自身のアンカリング技術や経験・知識から総合的に成るものです。(フォートレス社資料)

以下はFORTRESS社が、アンカリングのヒントとして長年の研究などから得た情報を、
私たちユーザーのアンカリング知識向上のために公開しているものの一部(訳)です。

1. 錨泊に必要な力 (Holding Power)
あなたのアンカーが必要な性能を発揮できるかを確認してください。 「ちょっと泊め(Lunch Hook)」程度に使うアンカーでも風速7-8 m/sの状況下でボートをぴたっと泊めておけるだけの性能が必要です。これが「メインの」または「通 常(Working)用の」アンカーとしてなら風速15-16 m/s 程度、暴風などの状況下では 風速22-23 m/sに耐えられなくてはいけません。 この表は風速とボートの大きさによって、アンカリングに「最低」どのくらいの力 (kg) が必要か表したものです。

 
ボートの長さ毎の必要な把駐力(kg)
風速(m/秒), ノット
20 ft.
25 ft.
30 ft.
35 ft.
7-8m/s (15knts)
41
57
80
102
15-16m/s (30knts)
164
223
318
409
22-23m/s (42knts)
327
445
636
817

風速が2倍になると必要な把駐力は二乗倍(4倍)になることに注意してください。(ボートの長さと幅は標準的な比率を想定しています。もしあなたのボートサイズ(たてよこ比)が標準的 でない場合、ひとつ上の表の欄を参照してください。)

以下はフォートレス・アルミアンカーの種類と性能です。FX-7, 11, 16のみ載せましたが、これ以上のサイズとしてFX-23, 37, 55, 85, 125 まであります。

製品名
FX-7
FX-11
FX-16
ボートの長さ目安
16-27
28-32
33-38
アンカー自重
1.8 kg
3.2 kg
4.5 kg
ステンレスアンカー交換目安の重さ
2.7-4.0 kg
4.5-6.0 kg
6.4-8.2 kg
HOLDING POWER
 Working (kg)
318
409
568
 32度 底質 かための砂 (kg)
1,271
1,634
2,270
 45度 底質 やわらかい泥 (kg)
381
490
681
 32度 底質 やわらかい泥 (kg)
191
245
341
チェーン推奨太さ (mm)
4.76
6.35
7.94
ロープ推奨直径* (mm)
9.53
9.53
12.7

*ロープ推奨直径は25%破断張力とする


2.  スコープ(Scope)
スコープ(Scope)とは、繰り出されたアンカーロープの長さ と ボートのデッキから海底までの深さ との比率のことです。一般 的にこの比率は 5:1  が推奨されています。

Scopeが 10:1 の場合、把駐力は二倍になり、反対に 3:1 未満の場合、把駐力は極端に落ちて ともすれば走錨する恐れがあります。 混雑した海域の投錨はまずScopeを5:1にあわせるようにし、必要に応じてラインをたぐって短くしていく方法をとります。魚探などで水深を確認する場合、魚探は海底からボートのキールまでの距離しか計測しませんから、水面 からボートデッキ上までの高さ分も考慮するよように気を付けてください。

3. 「船の力」でアンカーを打つ
アンカーがしっかり打ち込まれているかを確認します。微速後進(very, very, slowly)し、アンカーが効き始めたらエンジンを使って少しずつ負荷をかけます。このような方法でやらないと、アンカーは自力で海底をかき、埋もれていきません。これを推力でアンカーを打つ方法(Power Set)といいます。

4. アンカーの打ち直し
潮流や風向きが変化する海域では、バウより2つのアンカーを逆方向に打ちます(バハマ流?)。しかしいったん抜けたアンカーは、打ち直しづらいこともあります。アンカーの打ち直しが100%信頼できるアンカーなんてありません。そういう広告にだまされるより、風や潮流が変わりそうならアンカーをふたつ打ちましょう。

5. アンカー回収時
ロープをたぐって、アンカーの真上の位置までゆっくりとボートを進めます。ここでロープをクリートに固定したら、ゆっくりと後進をかけて海底からアンカーを抜きます。前進で抜くのではありません。前進でやろうとすると、より大きなパワーを必要とし、アンカーの部品をいためる恐れがあります。

6. 部品の保守
アンカリングは アンカー自身だけではなく、ロープ、シャックル、チェーン、デッキ上のクリート なども重要な構成部品です。これら全てを十分にメンテナンス管理し、必要十分な強度に耐えられるようにしておきましよう。

7. アンカーロード (Anchor Rode)
短いチェーンと3ツ打ちナイロンロープを併用します。ナイロンは伸縮性に富み、ボートとアンカリング設備全般 に対してのショックを和らげてくれます。チェーンは海底の岩礁などからロープを保護すると同時に、アンカーが最初に海底にセットされる際に水平方向に力をかけてくれます。25ft. (7.6m)以下の水深なら 6ft. (1.82m)のチェーンの長さが標準です。水深がこれより深い場合は、25ft.毎にチェーン6ft.の割合でチェーンが長く必要です。水深の約1/4がチェーン長ということになります。

8. 底質がやわらかい泥の場合
やわらかな泥の底質は把駐力を大幅に低下させてしまいます。アンカーが必要なHoldong Power性能を出せているのか十分注意しましょう。通常の底質の15%くらいしか錨かきしなくなってしまう こともあります。また粘土質のような場合、アンカーをしっかり打つ事はより難しくなります。

このような場合、アンカーのスコープ(Scope)を非常に短く(例えば2:1 とか)打って、それからスコープを最低5:1まで伸ばしていき、PowerSetでアンカーを打ちましょう。

 


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