PBI MONEY !
ガソリンもポイントですよ〜

本日のお題「ガソリンスタンドのポイント制」

みなさんは愛艇の燃料をどこで給油していますか? マリーナの給油バースですか? マリーナで入れると高いですよね。何故でしょうか? 特別な燃料ではありませんよね。マリーナは「海だから」コストがかかる? でも給油バースは海ではなく陸地に設置されているのがほとんどです。マリーナに給油施設を作る設備投資や多種多様のボートに給油するめんどうな諸経費を、利用者に転嫁しているだけでしょうきっと。

自動車にガソリンを売るフツーの街のガソリンスタンド(GS)の場合は、マリーナの給油バースのように価格を客に転嫁してばかりはいられません。そんなことをしたらたちまち客離れしてしまいます。この戦いは実に熾烈で、GSは店の入口付近に「本日のガソリン価格、◯◯◯円」というデカい看板を掲げ、客はそれを見て1円でも高ければとなりのスタンドに行ってしまいます。1円の価格差とは100L入れても100円。缶コーヒー1本程度の売上金額の差で生きるか死ぬかの世界です。かくしてこのGS業界でも「ポイント制」による客の囲い込みが存在します。

今日は例題だけでいきましょう。

あるガソリンスタンドが非常に繁盛していました。そのヒミツはお店の出す「すごい」ポイントカードです。このシステムは、5,000円のガソリン購入で、翌月末まで有効の「5円/L割引券」がもらえます。乗用車なら5,000円は満タン給油すればいく金額ですから、一般ドライバーはいつもこのGSをひいきに給油していれば「5円/L割引券券」は毎月ほぼ必ずもらえることになり、結果的に常に相場よりおおむね5円安く買えます。

最近このGSは、大好評だったこの「5円/L割引券券」システムを新しいものにすると宣言しました。以下その貼り紙です。

お客各位

  • 当店は、お客様への更なるサービスを目指すため、新しいポイント制を導入いたします。
  • いままで5,000円毎に差し上げていた「5円/L割引券」は、◯月◯日をもって使用できません。
  • 今度からはガソリンだけではなく洗車・OIL交換でもポイントの付くカードになりますからより便利です。

【問題】このGSの新らしいポイントシステムは「100円で1ポイント」「1ポイントは1円になる特典」です。どのくらいおトクか考えましょう。

「あ、コノヤロー」って思ったアナタ、正常です。逆にまずいのは

「いままでは 5,000円で5円割引。つまり 5,000 割る5=0.1%。こんどは100円で1ポイント=1円の 1%還元。お得だ!」

この問題を見かけ上難しくしている点は、「5円/L割引券」を使う「次回の給油」で何リッター入れるかわからない不確定さがあることです。1リットルしか入れなくて「5円/L割引券」を使うのはなんかもったいない。そう考えてしまいます。っていうことは「5円/L割引券」でできるだけたくさん給油しよう、と客に思わせる絶妙なワザがあります。これは給油するお客は確かにそうなのですが、お店としては単純な売上増でしかありません。その分多くのガソリンを買っているだけの話なので還元「率」は何リットル買っても同じパーセントです(下表参照)から、

ガソリン単価(L)
1L買った価格(税込)
10L買っても
30L買っても
50L買っても
単価130円の場合
137円
1,365円
4,095円
6,825円
「5円割引」
-5円
-53円
-158円

-263円

還元率
3.85%
3.85%
3.85%
3.85%

このGSが「5円/L割引券」システムを見直さないといけなくなった理由は簡単で、自分で自分の首を絞めていたからです。それは「本日のガソリン価格、◯◯◯円」という、GSではあたり前な看板の存在です。
ポイントカードはふつう、ポイント還元される分をはじめから価格に転嫁して(UPして)おくので経営上なんの問題もありません。ところがGS業界はガソリンの価格を店の入口に大きな看板で掲げて競争している厳しい世界なのです。「125円」とか。多くのドライバーの目に留まるその看板の大きな数字こそが、客との接点と言っても過言ではないでしょう。この数字を他店に十分対抗できる価格にしないと客が来ない。つまりポイント分を価格に転嫁したらすぐバレるのです。

「5円/L割引券」システムは、ガソリン価格を安くすればするほどお客のうまみが拡大します。価格は看板で競争し、その分は客のうまみであったからこそ、このGSはもうからず、客から見ればいい店として繁盛していたのです。

ガソリン単価(L)が
125円
130円
135円
140円
50L購入の金額(税込)
6,563円
6,825円
7,088円
7,350円
「5円割引」(同額)
-263円
-263円
-263円
-263円
還元率
4.01%
3.85%
3.71%
3.56%

上記からもわかるように、このGSは4%近い還元率でお客を優待していました。お客にしてみれば「5,000円給油するだけ」です。これは一般的なポイントの還元率よりはるかにおトクです。逆にGSからすれば苦しいということになります。このGSが導入した新システムは「100円で1ポイント」ですから1%の還元率です。このGSのサービス内容を従来と同じレベルにするには、最低でもこの率を4倍ちかくしないといけないわけで、たとえば「100円で4ポイント」出せば...でも それは恐らくないでしょうね。

かくしてこのGSは新しいポイント制で経営難を乗り切ったのでしょうか? 一見そうかも知れません。でも こんなんで客が長期にわたって付いてくるはずはありませんから、先も見えています。現にこの店は新システム導入直後からカードのポイント変換率を頻繁に変更しており、それはなんだか客の反応を見て「迷走」しているようにも見えます。

今回は、ポイント制のやや複雑な例として「ポイントを金額に換算する応用編」を見てみました。お客の損得勘定の盲点・限界を巧みについてくるこの手のロジックは後を絶ちませんが、いずれもちょっと考えればわかることです。でもそういうことを考えない客も多いわけです。少なくとも私たちを混乱させていることは確かです。


次回予告!
ボート保険の分析をしてみましょう。前からやってみたかったテーマです。どこが安いか、でも安いだけではだめなのが保険のむずかしいところでもあります。保険知識のかんたんなおさらい、みたいなものからやってみたいです。
緊急告知: この分野について予想外に数名の方から「詳しく知りたい」とメールいただきました、しかも有料でコンサルしてよと。爆。
ボート保険で初めての方が知っておくべきポイントは比較的少ないです。保険代理店では教えてもらえないようなことも含めPBI MONEYのページでは書ききれません。えっ、早く作れって。3月保険満期で急ぐ方々には既に個別コンサルしちゃいましたが、わたしもコレが本業ではないので忙しいのでなんか別な方法でご紹介すべく検討中です。
コンサル料よりはるかに安く資料の紙コピーとかにしようかな。ま、しばしお待ちください〜。

 


TOP Library-PBI Suite index

PRIMAVERA BOATING ISLANDS (c) by PBI All rights Reserved.