輸入無線機で国際VHF船舶局を開局する
3 予備免許が交付される

(前回までのあらすじ)
国際VHF船舶局開局を目指して、無線局開局申請書類一式を電気通 信監理局に提出しました。

(2) 書類がOKなら、予備免許が交付される
申請してから約1ヶ月で 予備免許(無線局予備免許通知書)が交付されました。これは書類上はOKでしたいうことを意味します。この予備免許に記載されている内容が、申請時の各種書類と同じかどうかチェックします。というのは、予備免許上に記載された内容で のちに本免許になるからです。

「電波の形式、周波数及び空中線電力」の欄に記載されたチャンネルしか、通 信に使用できませんのでこれらは特に要チェックです。

また予備免許と一緒に、2部ずつ提出した申請書類は「写 し」として返却されてきます。これらは無線局を運用するときにすべて携帯するために必要なので、大切に保管しましょう。

(注意) 交付された予備免許には有効期限があります。「工事落成の期限(許可の日から1ヶ月後の月末)」などと書かれている部分がそれです。この日までに その無線局の工事を落成(設備工事が完了すること)したという届けをださないといけません。でないと「お国」は免許を与える手続をやめてしまい(「免許の拒否」免許手続規則14条)その予備免許は無効になり、この申請自体も無かったことになり全部はじめからやり直しとなります。申請書を出したら早めに無線設備の工事にとりかかり、予備免許が交付されたら、さっさと工事落成届を出せるようにしておきましょう。なお「工事落成の期限(許可の日から1ヶ月後の月末)」というのは例えば8月10日付けで許可されたとしたら、9月30日(月末日)が期限という理解です。

(3) 無線設備を工事落成し、新設検査を受ける
予備免許から本免許へと向かう最大の難関がこの「新設検査」です。これは無線機器が申請通 りに動作するかを検査官が実際に来艇して検査するもので、その検査官が「誰か」によって大きく二通 りあります。(a)電気通信監理局の職員が来る(電気通信監理局職員による直接検査)と、(b)資格を持った業者が検査を代行する(認定点検事業者制度) です。しかし実際は(a)の選択肢しか選べないのです。以下ここを重点的に説明します。

まず、両者の違いなどは こんな感じです。

電監による検査
認定点検事業者制度
概 要 国による検査(臨局検査)を行う。通 常は検査官が決められた日時に来艇する。新規に無線局を開設する場合「新設検査」という扱い。 国により認定された者(通 常メーカーの担当者や電気通信工事業者等。以下、業者)が国に代わって検査をし、検査結果 を国に提出することで国の検査を書面で行う。
費用的なこと 「落成後の検査手数料」45,000円くらい(送信機の出力10Wまで。複数局同時開設なら2局目以降は減額制度あり) 。検査官来艇の交通費などは ふつう請求されない。また検査「不合格」となっても再び検査の時に検査手数料を払い直すこともない。 検査料30,000 円くらい+ 出張料+交通費(実費)+書類代行作成料等。なにからなにまで業者がやってくれるが、お金もかかる。
検査日など 電気通信監理局による平日指定の日(希望日は第二希望ぐらいまで出せる) 業者と相談可能
申込みなど 「無線局検査申込書」を電気通 信監理局に提出 業者とやって検査成績が出たら、左記と同様の「無線局検査申込書」を作成・提出する。ただし業者が検査したので書面 上でのみ国の検査が行われることになる。書類関係は業者に一任できるはず。
コメント 「国が来る」というプレッシャー以外は費用も割安。ただ「国」としては来るのはめんどうだし(b)をやってほしいと思うが...。 「工事落成届」など、開局までのすべての必要書類も作ってくれるが、輸入した無線機で開局する場合、現実的にこの選択肢は非常に難しい。下記参照

何が問題かって??
輸入した無線機で(b)認定点検事業者制度をやろうとしても「認定された事業者」が見つからないのです。 無線設備の検査を行う「認定事業者」は、無線や通信関連のメーカー、修理業者等、たくさんいますが、輸入無線機の検査を依頼すると、メーカーなどは一様に「やりたくありません」と言うことが多いようです。

なぜか。数多くの認定事業者のうち一般 の電気通信工事業者などは「検査を行い(実際は技術的なサポートもするので)合格ということになった後でもし何らかの問題が生じた場合、国に対してその責任をとりたくない。特に輸入した無線機器の場合、責任もてないので、その輸入無線機を製造したメーカーさんにやってもらってください。」ということでやってくれない。とすると その無線機のメーカーさんに依頼するしか選択肢がなくなります。

そしてその輸入無線機を製造した国内メーカーからもこんな風に断られます。「輸入モデルを検査し合格とするのは、輸入を助長している動きと国からとられかねない。このような形で国に「目」をつけられるのはいやだ。もし後で問題が発覚して、国から「認定事業者」ライセンスを剥奪されたりでもしたら困る。」

これで、現実的にだれも検査をやってくれないことになります。 従って輸入無線機で国際VHF船舶局を開局するには、現実的に(a)の方法しかない ことになります。(わかりましたかねえ?)

電気通信監理局は「輸入モデルがだめだ、などとは言っていない。検査に合格すれば輸入モデルも合法だし、どこの業者もやってくれないはずはない」と言ったりしていますが、メーカーさんの言い分は「実際に輸入品を合格させたとあっては国の機器検定制度にタテ突く行為に等しい。メーカーはノータッチとさせていただきたい」メーカーは国と不要な摩擦を避けたいらしく、輸入機器の検査を行わない方針のところが多いようです。

「じゃあ(a)電気通信監理局による検査を依頼するからいいです」ということにしたらしたで、メーカーさんはさらにこんな事を言います。 「検査は非常に技術的なものなので、素人が当日その場で受け答えできることではない。技術者のようなプロが同席し、事前に測定し、必要な対策を講じておいてこそスムースに検査が進むものだ。だからそういう助けがない場合、検査は非常に大変になり、再検査・再々検査となったりしますよ。そんなのお金と時間の無駄 でしょう。やめた方がいいですよ。どうして国内の検定合格無線機で開局しないんですか。」
ちなみに、国の検査(a)の場合の検査料は、不合格で何度来てもらっても一件だから一回分の費用で済むらしいので、再検査の場合でも費用はかからない。 

(余談) このような状況の中で、現実的ではないがこんな方法もあるにはあります。

(1) 自らが 認定点検事業者の資格を取得し、合格させる。これはそもそも「なれるのか」という問題がありますが、もし実現すれば有効な方法でしょう?!

(2) その輸入無線機を郵政省の技術適合基準に合格させて「技適合格機」としてしまえば、ほとんどの認定点検事業者は検査をやってくれるでしょう。「技適合格機」への認定を受ける場合、
術書類等の提出が大変ですが、まあ費用は5万円くらいです。しかし技適を通 してから認定点検事業者に認定してもらい、開局の申請ですから、もちろん時間もかかります。

(つづく)

 


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