輸入無線機で国際VHF船舶局を開局する

開局しました!


「国際VHF船舶局」免許される!  News on 10/18/2000

Primavera号は10月18日、かねてより申請中であった国際VHF船舶局を開局することに成功した。やったー。ビッグにゅーす。

そもそも
ぷりまにはアマチュア無線は装備しているもののマリンVHFはなく、これまでPOOの皆さんなどと海上で連絡を取るときに不便を感じていた。まあ仲間を呼ぶときは携帯電話を使えばいいんだけれど、VHF無線の方が連絡手段としては便利なことは皆さんご存じの通 りです。

プレジャーボートの無線通 信システムは日本では「マリンVHF」が一般的だが、日本国内で売っている無線機は価格が高い。それは使う人(買う人)が少ないからだという。さらに日本国内で売っている製品は郵政省の技術検定に合格しており、そういう無線機器は海外の同等製品に比べ価格が3倍以上する。国際的に共通 に運用している海の無線システムで、こんなに国内の価格が高いと日本では余計に普及しにくいだろうな。例えばアメリカでは売っている無線機は実に安い。しかし製品は日本と同等かそれ以上の性能で、現に日本製も多い。さらにすごいところは、アメリカでは雑誌やお店などでその製品を厳しく評価・採点し、どの製品が優れているかを消費者に公開しているところだ。

輸入無線機で開局をしてみようと思った。でもそんなことできるのかな。日本の法律上で「だめ」と言われるかもしれない。まあそしたらそれまでだ。 島津さん(海の会代表)が「こういう挑戦があった方が、趣味はずっと楽しいよ」と言っていたがその通 りだと思った。島津さんは自作のフネを船検に通したり、艇令は古いがいいフネを見違えるようによみがえらせたり、いつも海の趣味にチャレンジし続けている。同じ海の仲間として、方向はちょっとちがうけど、自分も挑戦する気持ちを持ちつづけたい、なんてカッコつけてもみたくなった。

悩んだ末、日本製のMarine VHFハンディ機をアメリカから輸入した。ていうか、出張時にWMで買って持ち帰った。
ボートのことになるといつも積極的だなと自分に呆れながら、合法開局への挑戦という道のりをスタートした。 (中略)

新設検査当日
輸入無線機で合法的に免許を取りたい。そのために今日まで、わからないことは島津さんに調べていただいたり自分で電波法を読みあさった。無線機輸入から申請書類提出、予備免許、工事落成、試験電波発射届け、... とゆっくりだが確実にステップをたどってきた。そしてとうとう新設検査当日の朝を迎える。

木更津マリーナはこの日曇りで、北風がかなり強い。朝マリーナを出たボートはほとんど帰航してくるだろうな。 私は会社を休んで、検査予定時刻約1時間前から準備にかかる。書類よし。備え付け関係よし。最大の問題であった「実通 試験」も、ちばポートラジオ局と試験電波で交信できていたので、本番でも多分大丈夫だろうと思っていた。もし実通 がだめだったら不合格だと思うと、ちばポートラジオ局にはお忙しい中ご協力いただきとても感謝している。木更津から横浜まで電波を飛ばせたというのも、なんだかとってもうれしかった。


10時。東京から郵政事務官が2人来艇する。スーツ姿でぷりまに乗り込む。「ただいまから、プリマヴェーラ号 船長しまだ における国際VHF船舶局の新設検査を行います」「よろしくお願いします」。
書類検査、機器配置照合、電源系統などが工事設計書通りか、など一連の検査が静かに進んでいく。時折スルドイ(というか、細かい)質問をされるが、なんとかかわす。機器測定では、ハンディ機のアンテナ端子に測定器をつないで、免許されるすべてのチャンネルにおいて周波数と出力などの測定をされた。私は無線機を調整する技術はないので、もし機器が調整不良と言われたらどうしよう...と思いハラハラしていた。「うーん、ずれてますねえ」「え、ぎくっ」という場面 もあったが、検査官どうしで相談したりして まあいいでしょう、とか言っていた。ほっ。

「では実通試験をはじめます」。緊張がはしる。送信チャンネルは CH16、国際呼び出しチャンネルである。この日もCH 16は東京湾を航行する本船と日本の港湾関係のプロっぽい無駄 のない会話(英語も)が聞こえてきた。ここでの会話は多くの人がモニターしている。さあやるぞー。スケルチを全開にしてわざとノイズをとってから一呼吸して送信開始。「千葉ポートラジオ、千葉ポートラジオ、千葉ポートラジオ、こちらは ぷりま ぶりま ぶりま 感度ありますか、どうぞ」島津さんからいただいた「交信マニュアル」を見ながら正しく、それっぽく送信する。さて応答は「.................」。あれ、やばい。届いていない。もう一度。CH16で出力がLOWになっていないことを確認してから「千葉ポートラジオ、千葉ポートラジオ、千葉ポートラジオ、感度ありますか、どうぞ」「.........」うそー。検査官があれれ みたいな感じの表情になっているのがわかる。

そのとき「誰かこちらをよびましたか こちらは千葉ポートラジオ、どうぞ」お、応答してきたぞ。「誰かこちらをよびましたか」というのは電波法(運用26条)で規定された「不確実な呼び出しに対する応答」の決まり文句なので、これではまだ交信したことにならない。 祈るような気持ちで再度呼び出しを行う。すると「ぷりま こちら千葉ポートラジオ チャンネル11へどうぞ」よーし、つながったぞ。「千葉ポートラジオ こちら ぷりま チャンネルイレブンへ移動します」冷静にCH11へ移動する。検査官が私に、よく聞こえないのでスピーカーのVOLを上げるように指示。VOL-maxにして「こちら ぷりま。ただいま通 信機器の試験中です。感度いかがですか どうぞ」「こちら千葉ポートラジオ 感明(感度・明瞭度)良好です。おはようございます。どうぞ」オペレーターの女性の声がプロの落ち着きをもって非常にクリアーに入感している。
「はい。OKです」と検査官が言う。千葉ポートラジオとの試験通信を終え、業務日誌に記録。はー無事終わってよかった。

合格と認めます
「えー、検査の結果 設備の問題点や法令等に違反する事項なしと認めましたので 合格とします」「ありがとうございます。」無線検査簿に「新設検査 合格」「指示事項 なし」と書かれた。検査官両名が署名・捺印。文句なしの合格だ。

彼らは実はもう日付が空欄の免許状を持ってきていて、そこに今日の日付等を記入してその場で無線局免許状交付式となった。この瞬間ぷりまは「国際VHF船舶局」となった。木更津沖を航行中の大型タンカーや外国船が「This is xxxx , over」なんてやっている無線と同じものを こんなちっぽけなボートに免許されたことになる。世界のどの海に行っても共通 な通信システムを装備したぷりまに、拍手ー。

この後検査官の方とはやや和やかな雰囲気になって「電波利用料600円もあとで払って下さいね(笑)」「あ、はい」なんて言いながら、片づけを終えた検査官を東京に帰っていくのを見送った。 やった。おわった。木更津マリーナの皆さんが「よかったね」と言ってくれた。

おもうこと
現在の日本のVHF免許制度にタテつくつもりはないけれど、プレジャーボートのVHF無線は、時に人命にかかわるくらい非常に重要なものであるにもかかわらず、免許制度や費用等の面 においてまだまた敷居が高すぎます。もっと簡単に免許を取れるようになればいいと願っています。(おわり)

 


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